絵画作家 上原一馬 ウェブサイト

UEHARA Kazuma Website

 
updated 2024-05-05
 

 

2016.12.10

新海ショック

 
 

君の名は。

 
「君の名は。」展 を観に 小海町高原美術館 へ。
 
映画にも登場する、新海三社神社や小海線をかすめながら、小海町から松原湖方面へ。
入館者数2万人に達しようとしているこの展覧会は、やはり開館前に大勢の人が。
 
「混み合う前にどうぞ」と開館前に入館させていただき、
学芸員の中嶋実さんにていねいな説明をいただいた。
 
中嶋さんは今回の展覧会の仕掛け人。
大ヒット前の2007年から 新海誠 の企画展に携わっている。
 
映画の原点となる絵コンテ、
ラフ画による動画も展示されていた。
その動画は声優ではなく、新海監督と奥さんによる声のものだった。
そして、映画の細かい設定を描いたボード、
美しい背景画の展示。
 
新海監督の功績は、本当に美しいものや美しい心は全世界と共鳴できるということを示したということだ。
 
この展覧会は、私にとってあまりにショックだった。
それは一言で言うと、ものづくりや芸術に携わる者の「敗北感」だ。
 
当分この気持ちは整理できそうにないが、学んだことを記すとすると、
・個人が感じていることや考えていることが、世界中の人々とつながる可能性があること。
・世代や時代を越えて変わらない人間の感覚があるということ。
・それらを表現する手段として制作するとき、決して手を抜いてはいけないこと。
 
それからもう一つ感じたことは、この作品によって時代が変わったということだ。
美術界の構図や若者文化が、音を立てて変わろうとしている瞬間を目の当たりにしてしまった、ということだ。

 

2016.11.29

島田章三 絵画の王道を歩んだ人

 
 

島田章三

島田章三 《エウローペ》1968 年
 
国展の巨星が落ちた。
島田章三 氏が亡くなったという連絡が国画会に流れた。
 
島田氏は国展最後の「安井賞」受賞作家。
学生時代から国展の顔でありつづけた巨匠である。
 
公募展での受賞、そして安井賞展への推薦・受賞という、
かつての絵画美術界の王道とも言える道を正面から歩んできた。
 
私の好きなのは『エウローペ』という作品。
安井賞受賞後に描かれた作品であるが、
その受賞作『母と子のスペース』と同様の抽象に近い具象表現を取りながら、
近年のキュビズム的な絵との橋渡しとなっているような作品だ。
ギリシャ神話の登場人物を主人公にしたこの作品には、表現の普遍性を感じる。
何度観てもすばらしい絵だ。
 
国展が島田氏を失ってしまった動揺は、すごく大きい。
 
島田章三

 
写真は2011年、国立新美術館地下・国展審査会場でのショット。
最後に交わした言葉は、 「来年にはもういないぞ。今のうちに撮っておけ。」だった。

 

2016.11.20

心の花美術館 具象表現のゆくえ

 
 

心の花美術館

 
長野県上田市にある、 心の花美術館 での企画展が始まった。
 
佐久市の元麻布ギャラリーでのトークの時、 オーナーの増田泰子さんに出会ったのがきっかけで、参加させていただくことになった。
 
今回は国展の仲間2人ともいっしょで、心強い。
憧れの作家、有元利夫、わたなべゆう、金井訓志といった作家といっしょに展示させていただくのも、うれしい。
写真左は私の作品3点のうちの1点。



長野県内在住の具象作家5人の展覧会ということで、一般の方にも理解しやすいと思いますので、ぜひご来場ください。
 
真田丸の舞台、上田城の真田幸村館もそろそろ閉館です。
会場も近いのでいっしょに見学いかがでしょうか。
来館者にはおいしいコーヒーが出ますので、休憩にもどうぞ。
 
11/26土13:00〜 アーティストトーク&X'masコンサートが開催日です。

 

2016.11.19

開光一 -誕生(BIRTH)-

 
 

開光一

 
開光一 の大規模な個展が 石川県立美術館 で始まった。
 
開さんから案内状と図録が同封されて届いた。
学生時代の作品 から近作まで、5mオーバーの作品から個展の小品まで、
まさに集大成とも言える規模だ。
(こんな図録いだだいて良ろしいのでしょうか。ありがとうございます。)
 
とてつもないスケールと表現力だ。
 
かつては、どこであろうと開さんの展覧会には足を運んでいた。
しばらく行っていなかったが、これは「行きたい」と思わされる展覧会だ。
 
そして、国展に出品したいと思ったころの気持ちが蘇ったように感じた。
 
私達の中には、少なからず開さんを目標にしてき国展作家がいる。
活動をしばらく休止していた時期もあったが、
「開さん、僕たちを導いてくれ!」
そんな憧れをもらせる作家であることに間違えはない。

 

2016.10.29

吉田晋之介 異次元の視点

 
 

吉田晋之介

 
吉田晋之介 の作品との出会いは衝撃だった。
あまりに見たことがないタイプの絵だったのでビックリした。
 
『マザーボード』と名付けられたこの作品は、幾何学的だが風景になっている。
カクカクのデキタルチックな山と湖と街の風景が、宇宙空間に浮かんでいる。
しかも俯瞰風景で、途中でバッサリと切り取られている。
 
テクノミュージックのジャケットのような雰囲気の、クールなかっこ良さだ。
 
このデジタルな空間をアクリルと油彩で、超アナログで描いている。
絵具が垂れてデジタル感を打ち消している。
 
彼なりに原発事故の解釈がテーマになっているようで、
社会的なメッセージも込められている。
 
とにかく視点も描き方も、突拍子がなさすぎて、新鮮だ。
 
作者は「角度を変えてものごとを見ることで、その本質が見えてくる」と言っている。
 
やり尽くされた絵画表現の中に、新しい表現をするというのは大変なことだ。
しかし、彼は確かに「新しい表現」の石を投げ続けている。

 

2016.09.10

新海誠 君の名は

 
 

新海誠 小海線

 
新海誠監督『君の名は』 を観に佐久市のアムシネマへ。
 
新海監督は長野県小海町出身。
地元映画館というのもあってか、朝からものすごい行列。
なんとか希望の時間の公演に座ることができた。
 
新海監督作品との出会いは、「ほしのこえ」。
10年以上前の2003年、ネットで見つけてどうしても欲しくなり、DVDを購入したのがきっかけだった。 (今なら2,000円程度で買えるこのDVDも当時は6,000円近くしたが、えいっと購入。)
それはまさに衝撃だった。
個人制作のそのアニメーションは 荒削りながら、普遍の文学性にあふれ、映像美に心が揺さぶられた。
 
最新作は、私の好きな川村元気プロデュースということもあって、
絶対映画館に足を運ぼうと思っていた。
 
期待を裏切らない、どころではない。
ストーリー、映像美、音楽、どれをとっても最高の出来ばえなのだ。
ここ10年、こんなすばらしい映画を観たことがない。
 
「出会い」というやはり普遍的なテーマで、
突然困難な事件に巻き込まれていく中、男女のけなげな「希望」が描かれている。
その姿が本当にピュアで、忘れていたものを思い出させてくれる。
なんとも言えない感動と余韻だ。
 
背景画が美しく、まさに新海監督の出身地、小海町や 松原湖 の森林 野辺山高原からの草原の景色や満天の星空を再現しているようだ。
確かにこの地域は美しい風景であるが、このすぐれた感性の持ち主には、こうも感傷的でノスタルジックに映るのか。
 
新海監督は、私と同じ野沢北高校の先輩。
見終わった後は、えも言われぬ感動と同時に、なぜかくやしさと創作意欲がわいてくる思いがあった。
 
そう言えば新海さんのお母さんは絵描きで、小海や佐久の美術展で見かける。
創作に対する許容と理解も、この天才を産んだ要因の一つなのだろう。

 

2016.08.11

メアリー・カサット 塗り重ね浮かび上がる

 
 

メアリー・カサット

 
メアリー・カサット展 を観に横浜美術館へ。
 
ポスターを見て、これはぜひ観に行かなければと思っていた。
期待を裏切らないすばらしい展覧会だった。
 
彼女の特徴は、分厚い厚塗りの画面だ。
筆跡もそうとう残されている。
 
ゆえに表現が強い。
ぐいっと掴まれるような骨太な塗りだ。
 
しかし、作者は女性。
風景や家族など、日常の穏やかな情景がやさしい視点で描かれている。
 
この強さとやさしさが彼女の特徴だ。
 
背景はストロークがまざまざと残されている。
人物も絵具を置いたかのような厚さだ。
 
しかし、遠くからみると、その荒々しさは全く消え失せ、
自然空間にリアルな人物が違和感なく描かれているように見える、不思議な絵だ。
 
本当にオーソドックスで、確かな絵画作品だ。
 
メアリー・カサットはアメリカの女性作家だが、
印象派に属するのだという。
 
印象派というとマネやモネ、ルノワールばかり思い浮かぶが、
こんな優れた作家がいたことに大変驚いた。

 

2016.07.23

アンリ・ヴァランシ 音楽的絵画

 
 

アンリ・ヴァランジ

 
アンリ・ヴァランシ ほど、絵から音楽を感じる作家はいない。
 
ピンクのグラデーションの色彩にスッと入ってくるブルー。
パッと花がような形体と画面を横切る曲線。
 
明るく優しい色彩とリズミカルで流れるような構成は、本当に快い楽曲のようだ。
 
抽象画の中でも、こんなに美しく気持ちの良さを感じるのは、
単なる形の構成ではなく、音楽のイメージに支えてられているからだろう。
 
作家の言葉でいう「音楽的絵画」。
このネーミングも気に入ってしまった。
 
目に見えない感覚と感動を、視覚で表現しようとしたとき、
こんなにも快いものになるのだ、と感じた。
 
心に柔らかい日差しのように優しく入り込んでくる、そんな作品だ。

 

2016.06.11

クレモニーニ 流される意識

 
 

クレモニーニ

 
クレモニーニ は今も私に影響を与え続ける画家の一人だ。
 
女性の感性を感じさせるような美しい色彩。
その清潔な画面にたれ流された絵具。
風景や人物は、実体があるのかないのか分からない。
 
ゆがんだ人物像と走る筆あと。
毒を含んだ表現内容は、思わずドキリとさせられる。
 
このつかみ所のない絵に意識は流される。
 
構図のバリエーションも、あまりに豊富で、
次々あふれるアイディアにも驚かされる。
 
大学時代に「上原君に見せたい画集があるんだ。」と、
よくお世話をしてくださった先輩の山本斉さんにいただいた画集が今もある。
 
いつ見ても新たな発見を与えてくれる。

 

2016.05.01

粂原愛 溶けてゆく自画像

 
 

粂原愛

 
粂原愛「反芻する情景」
 
第34回 上野の森美術館大賞展。
会場で私の心をとらえたのが上の作品だ。
 
鮮やかな赤は金魚である。
少女が金魚に飲み込まれている絵だ。
 
明るい色彩とはうらはらに、
大群の金魚の水槽に、
パクパクしたあの大勢のうごめきに、
自分が飲み込まれていくような、怖さがある。
 
金魚の鑑賞者である自分が、
いつのまにか、金魚に食べられて、
溶け合ってゆく。
きわどい研ぎすまされた作者の感性が、新鮮だ。
 
日本画なのだが、日本画っぽくない。
日本画で こういう絵を書く人は、 描写力がともなわないことも多いのだが、描写も優れている。
 
そういえばこの絵…、と思い、
写真フォルダを探してみると、 やはりそうだった。
 
昨年の五美大の卒制で、撮った10枚ほどの作品の中にも入っていた。
その作者と同一人物だった。
 
粂原愛

 
粂原愛 「紅梅匂」
 
なんと過去にも私は彼女の作品に魅了されていたとは。
 
この作品は花に人物が溶け込んでいる作品。
すべてがあいまいで、つかみようがない。
 
しかし、鮮やかな色彩の中に、
確かに解放されていくような感覚がある。
 
大学を卒業したばかりのこの若い日本画家に、
嫉妬するような才能を感じた。

 

2016.04.29

第90回記念 国展

 
 
春の国展が始まった。
毎回思うことだが、全国から集まる作品のエネルギーには圧倒される。
ベテランから新人まで、新作への挑戦の成果だ。
その中でも私の心をとらえた作品。
 
 

嶋村貴志

 
嶋村貴志「エデン」
 
会員の中で最も良いと思った作品。
 
緻密な描写で、空想の情景が絵かれている。
 
「エデン」というタイトルには、
岩山の男根と中央の果実の乳房のイメージから 連想させる
アダムとイブが由来しているのだということを話してくださった。
そこに、舟で星が運ばれている。
宇宙の根源に迫るテーマだ。
 
圧巻の空想写実風景の傑作だと感じた。
 
 
五島綾子

 
五島綾子「ただよってみる」 準会員優作賞
 
審査でも文句なしの圧倒的な票だった。
 
泡をクローズアップで描いた作品。
写実にも関わらず抽象にも見えるおもしろい作品。
 
クモの巣のような泡に飲み込まれて、溶けてしまいそうな感覚だ。
クールで甘くてやさしい、そして怖い不思議な魅力の詰まった作品だ。
 
 
宮地佳代

 
宮地佳代「背景」
 
準会員の中で印象に残った作品。
 
つかみようがない風景だ。
抽象化された形体に、ネガポジの錯覚が入り交じる。
実体をつかもうとしているうちに絵に引き込まれていく。
色合いも憎いくらいに洗練されている。
 
部分的に嫌みではない程度にCGも駆使されている。
 
現代の新しい表現を追い求めようとする仕事ぶりが新鮮だった。
 
 
鈴木絵里

 
鈴木絵里「四肢」
 
女性の作品だと思わず見ていた。
 
浮遊する奇妙な生命体のうごめき。
イモ虫のような、イソギンチャクのような、寄生虫のような身の毛のよだつ不快感。
 
だがそれとは裏腹に、画面は清潔そのもので、色も描写も大変美しい。
凹凸のないフラットな画面は、ブレンディングによるグラデーション技法で描かれている。
 
このあり得ない発想に、作家のたぐいまれな想像力を感じた。
 
 
伊藤理恵子

 
伊藤理恵子「朝の光」 絵画部奨励賞
 
さわやかな春風のように心に響く作品。
解放されるようなのびやかさがある。
やさしく踊るような色彩もすばらしい。
 
良く見ると和紙に透明水彩で描かれている。
こういう作業が好きなのだろう。
仕事がていねいだが、喜びに満ちあふれている。
 
レセプションで声をかけてくださったが、20代で若いのに礼儀正しくていねいな印象のかただった。
 
 
福田あつ子

 
福田あつ子「ひと夢Ⅰ」 絵画部奨励賞
 
現代人の心のゆらめきを表現したような作品だ。
町に飲み込まれていく不安が、乳白のモノトーンで描かれている。
画面はピンぼけでつかみようがなく、ゆがんでいる。
 
ストレートに感情が伝わってきた、具象作品の中でも一番良かった作品。

 

2016.03.27

越ちひろ ワンダーワンダー

 
 
越ちひろ

 
サントミューゼ 上田市立美術館で開催中の 越ちひろ 展へ。
 
小松美羽に続く美術館企画。
この美術館からまたブレイクしていくアーティストが生まれるのか。
 
小松美羽
上田暁子
白井ゆみ枝
越ちひろ
 
長野県東北信地方のアートシーンが熱い。
特に女性アーティストの活躍が目覚ましい。
 
最初のフロアーは、学生時代に描かれたという夢の世界のような絵。
イメージが錯綜し、筆が踊る。
 
彼女は物を見て描くデッサンようなものは得意だったが、
意外にも想像で描くことはむしろ苦手だったという。
 
大学3年の時にドローイングの授業で、 直感的に描くことを習い、
5000枚にもおよぶドローイング作品を描いた。
 
ジュリアン・シュナーベルや村瀬恭子のドローイングに触発され、
さらに彼女の才能が一気に開花する。
 
会場には、彼女が資料のために撮影したという大量の写真も展示されていた。
それらにインスピレーションを受け、作品に取り入れられていく。
 
最近の作品は、ダイヤのような光のイメージの絵。
会場は、光の粒があふれるような、わくわくする空間だった。
 
私の行きつけの 佐久平の ピザ屋「ジンガラ」の壁画も彼女の作品だったとは…
 
「誰かの 何かのためになる」作品を描いていきたいという越ちひろ。
今回の展示も確かに人の心を勇気づけるものになっていた。
 
これから彼女の名前は、もっと知られることになっていくと思う。

 

2016.03.20

本物の仕事

 
 

上原一馬

 
国展の搬入が近づいてきた。
もう、言い訳はしていられない。
制作に向かうまでには、怠け心に打ち勝なければならない。
制作中も様々な妥協を排除しなければならない。



ヘタさを恐れて描かないより ヘタさで笑顔を誘う作り手になれ
傷つくことを恐れ鑑賞者や批評家になるくらいなら バカにされるような小さな発表をしろ
 
怠け心も克服できないくせに 厳しい評価から逃げるな
残らない仕事で気持ちを紛らわせ 肝心なことを後回しにするな
制作できる環境があるのに 人の生活をうらやむな
 
感動もない制作をしておいて 他人に感動を求めるな
始めに手を抜いておいて 後で取り繕うようなマネをするな
 
オリジナリティーを忘れて 構成や技法に埋没するな
流行りが廃れていくことを知っているのに 乗っかって後追いするな
 
変化を恐れてくり返すくらいなら チャレンジして失敗した自分をほめろ
 
買う時は完璧を求めるくせに 作る時に手抜きをするな
 
作品が全てなのに 報われないことをキャリアのせいにするな
数もないのに 売り込む方法を考えるな
 
最後に正しかったことを証明できればいいのに 目先の評価に惑わされるな
残らない駄作で目の前の評価を受けるくらいなら 一点の傑作を作って酷評されろ
 
一つでもいいから見た人が立ちすくむくらいの 本物の仕事をしろ



以上は制作中にふと頭をよぎることを文章にしたものだ。
自分への戒めとして、書き留めておきたい。
あらためて自分に言い聞かせながらやっていきたい。

 

2016.02.27

作品研究会

 
 
信州国展 国画会 増田登志子

 
2016年の第90回 国展に向けての絵画部作品研究会が開かれた。
長野県(信州)東北信支部で行われた。
会場は、佐久市の佐久平交流センター。ファミリーが集まる公園やショッピンモールにほど近い。
 
作品の実物を持って来るかたと、作品の写真のかたと両方OKだ。
写真のかたは、ボートに貼った作品とプレゼンする。
 
一人一人作品のコメントを発表していただき、
それに対して審査員もしている国展の会員が講評していく。
 
長年の出品者から、新人まで。
それぞれの作品に対する考えが興味深い。
来月の搬入に向けて真剣そのものだ。
 
会員の講評の視点の違いもおもしろい。勉強になる。
 
今回は 心の花美術館 の館主 加藤泰子さんが、講師としてご参加いただいた。
加藤さんは、まさに目利き。鋭い指摘も刺激的だ。
 
一人15分ほどの講評会が昼前に終わり、
ランチは加藤さんも交え皆で出かけ、穏やかな雰囲気でいただいた。
 
この講評会から、心の花美術館での企画展に参加する作家も決まったようだ。

 

2016.01.10

アルノ・リンク 時代の深層

 
 
アルノ・リンク

 
アルノ・リンク は、日本ではほとんど知られていない作家だ。
 
作家が生きてきたドイツ分裂と統一の時代は、
あまりにも国民に暗く重いものを背負わせてきたのだ。
 
ひっくり返り叫ぶこの絵はまさに人々の代弁者とも言える。
 
東ドイツは西ドイツに比べ、具象絵画の伝統が受け継がれてきた。
 
ドイツの重苦しくもクールな美術表現は、具象絵画の中にも見ることができる。